11月16日、会員セミナー「地方創生×シェアリング×女性活躍~長野県川上村から見るこの国の未来~」を行いました

2016年11月16日、会員セミナー「地方創生xシェアリングx女性活躍~長野県川上村から見るこの国の未来~」を行いました。
長野県川上村では、「女性がイキイキと暮らす地域づくり」をコンセプトとした「KAWAKAMI SMART PROJECT」が進行中であり、今回はその仕掛け人である株式会社パートナーエージェントの田中淳一様に講師としてお話しいただきました。
   
   

田中淳一 様(株式会社パートナーエージェント事業企画推進部事業創造グループ 統括マネージャー/QOMコンサルタント)
   
   
川上村はレタスの出荷量が日本一で比較的経済的に恵まれた村ですが、人口の転出超過が多く、農業後継者としての男性の非婚率が高くなっています。婚活支援サービスのパートナーエージェント様は「結婚環境の向上推進」という観点から自治体向けのソリューション提供といった事業も手掛けており、その一環として川上村で実施しているのが「KAWAKAMI SMART PROJECT」です。
   
「KAWAKAMI SMART PROJECT」では、川上村に「アイデア実現のチャンス」「自己実現の時間」「農業のイノベーション」「未来への可能性」「暮らしやすさ」という5つの幸せを創り出すために様々な企画が行われています。
「アイデア実現のチャンス」では、「KAWAKAMI IDEA FOREST(村コミュニティを中心に事業キュレーター・事業パートナーと連携しながら新たなアイデアを育てていく仕組み)」という事業育成スキームが設けられており、これを推進するためのイベントとして「地域イノベーションアイデアコンテスト」も行われました。コンテストには薬草によるセルフメディケーションやレタスの保湿効果を使った入浴剤等、106のアイデアが集まったそうです。
   
   
   
   
また、「自己実現の時間」については、村独自のシェアリングエコノミーシステム「MAKETIME!」の実証実験が始まっています。これは村の女性を主なターゲットにした現代版の助け合いの仕組みであり、掃除・子供の見守り・廃品回収など家庭内労働を依頼したい人とそれを支援できる人をマッチングして、その分、女性の自己実現のための時間を創造しようという試みです。スマホアプリ「MAKETIME!」で簡単に依頼や支援の申し込みができ、支援をした人は、商品やビットコインに交換可能なポイントを貯めることができます。これまでに、「子供の見守りを依頼して、空いた時間で生涯学習の講師ができた」「障子貼りを依頼して、空いた時間でハチミツのパッケージ制作の仕事ができた」等の具体的な声が出ているそうです。(「MAKETIME!」は政府の「シェアリングエコノミー検討会議」でもヒアリングを受ける等、非常に注目されています)
   
この他、IoTやドローン等の新技術を用いたスマート農業の実施(「農業のイノベーション」)やIT・バイオ等の産業誘致(「未来への可能性」)、ネットインフラやワーキングスペースの充実(「暮らしやすさ」)等の多様なプロジェクトが進行中とのことです。
   
「KAWAKAMI SMART PROJECT」は、シェアリングエコノミーや新しい技術を広めるためではなく、女性がポジティブに活動できる場をつくるための、またそれを通して地域の結婚環境の向上を目指すための、あくまで方策である、と田中さんは強調されました。
地方創生、働き方改革、シェアリングエコノミー、少子化対策等、様々な分野に関わる先進的な取り組みを一自治体で試行錯誤の中、進められている姿は本当に刺激的であり、人が自由に活発に活力をもって生きるための未来の地域の絵姿が見えた気がしました。
   
田中様、ご参加いただいた皆様、本当にありがとうございました。
   
   
   
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