10月度会員セミナー「平成27年改正個人情報保護法の概要」を開催しました

2015年10月22日、10月度会員セミナーを開催し、板倉陽一郎弁護士に改正個人情報保護法の概要についてお話しいただきました。板倉弁護士は2010年から2012年まで消費者庁に出向されており、司法と行政の双方の立場から個人情報保護法に関わってこられた専門家です。今回は、改正個人情報保護法の概要を示した上で、法令対応のため事業者が準備すべきことについて詳しくお話しいただきました。
   

  講師:板倉陽一郎 弁護士
   
個人情報保護で最も基本的かつ重大な事柄は、「何が個人情報に当たるのか」です。これについて板倉弁護士は、国会では,マイナンバーやパスポート番号等、国が発行する番号は個人情報に当たる一方で、携帯番号やクレジットカード番号、メールアドレスなどは該当しない、で答弁されていることを紹介されました。
また、差別や偏見につながるような「要配慮個人情報」は本人の同意なしに取得してはならないことや、使わなくなったデータは事業者が消去する努力義務があることにも触れられました。
   

        会場の様子
   
民間サービス会社が最も気になると思われるのは、個人が特定できないように加工した「匿名加工情報」についてです。これに関しては、①個人の特定ができないこと、②復元できないこと、が「匿名加工情報」に該当する条件となることが示されました。ただ、具体的な運用については個人情報保護委員会が作成する規則・ガイドラインを待たねばならないそうです。
   
板倉弁護士は、実際に個人データを扱う民間企業が、法律の運用について具体的な要望を出すことが重要、と強調されました。匿名加工基準については「この程度までの匿名加工であれば役立つ、というライン」、トレーサビリティ義務については、「どのような場面でどの程度のトレーサビリティであれば負担にならないか」等を明らかにし、行政側に伝えることで、民間の実態に沿った運用が確保されるということです。
   
法律は成立しましたが、板倉弁護士が強調されたように、運用に関する具体的な基準が作成されるのはこれからです。民間の自由な活動が過度に規制されて企業の萎縮を招かないよう、新経済連盟ではこれからもこの問題に関する取り組みを続けてまいります。
   

        懇親会の様子
   
   
   
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