7月19日、会員セミナー「『データの利用権限に関する契約ガイドライン』説明会」を開催しました

2017年7月19日、会員セミナー「『データの利用権限に関する契約ガイドライン』説明会」を開催しました。
経済産業省から5月30日に公表された『データの利用権限に関する契約ガイドラインVer1.0』について、とりまとめにあたられた経済産業省情報経済課 課長補佐(総括) 河野孝史様より、ガイドライン策定の背景にあるデータ利活用に向けた政策全般も含めてお話しいただきました。
   
   
講師:河野孝史 様 (経済産業省)
   
   
経済産業省が進めるデータ利活用に向けた政策の基本となるのが「Connected Industries」の考え方です。3月に開催されたCeBIT(ドイツ情報通信見本市)において安倍総理から発信され、①人と機械・システムが協調する新しいデジタル社会の実現、②協力や協働を通じた課題解決、③デジタル技術の進展に即した人材育成の積極推進が柱となっています。
第4次産業革命という<技術の変化>と、狩猟社会→農耕社会→工業社会→情報社会からSociety5.0(超スマート社会)へという<社会の変化>が、Connected Industriesによって結び付けられるという構想です。具体的には、スマートものづくり/自動走行・ロボット/ドローン・バイオ/ヘルスケアという分野別の取り組みと、データ利活用/IT人材育成/サイバーセキュリティ/人工知能研究/知財・標準制度という横断的な取り組みが今後のポイントとなります。
   
このうちデータ利活用については、データの行き過ぎた「囲い込み構造」等を課題と捉え、「戦略的オープン構造」「データ協調戦略」が志向されています。制度全体としては個人データ/産業データ/公共データというそれぞれの分野において保護や流通が図られますが、産業データにおける流通に向けて今回のガイドラインが策定されました。
IoTやAIが進展する中で事業活動から生み出されるデータが爆発的に増える中で、無体物として民法上の所有権の対象とならないデータについて、適切な契約を通じて利用権限(データオーナーシップ)の取り扱いを明確化することを目的としています。ガイドラインが想定する事業者間の契約では申入れ事前確認→データの選定→利用権限の決定→条項作成という合意形成プロセスが重視され、またその過程では、利用権限について従来の常識にとらわれることなく主張していくことや、営業秘密等も分け合う余地がないか精査すること、柔軟な判断といったことがポイントとされています。
   
   

   
   
具体的な事例も交えて詳細なご説明をいただき、会場では様々な視点から活発な質疑・意見交換が行われました。
講師をお務めいただいた河野様、ご参加いただいた皆様、本当にありがとうございました。
   
   
   

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