4月14日、会員セミナー「FinTech対応のための銀行法改正法案に関する勉強会」を開催しました

4月14日、会員セミナー「FinTech対応のための銀行法改正法案に関する勉強会」を開催しました。
   

   
今回講師をご担当頂いたのは、一般社団法人FinTech協会事務局、FINO-MENTORSで渥美坂井法律事務所に所属されている落合孝文弁護士です。
   
フィンテック(金融xIT)の動きが世界的規模で加速する中で、金融機関の口座管理を自動的に行う家計簿サービス・資産管理サービス、顧客に代わり電子送金を行うサービス等の新しいサービスが登場してきています。
   
これらのサービスでは、フィンテック企業が顧客に成り代わって、口座の取引履歴を閲覧したり、送金手続きを完了させたりするものです。現在のサービスの多くでは、口座の取引履歴の閲覧を実行するためにフィンテック企業が顧客からログインパスワード等を含む口座情報の提供を受けています。
   
しかしながら、その法的位置づけは不安定で、情報セキュリティ等の利用者保護の懸念もあり、フィンテック企業と金融機関との連携・協働が進みにくい状況もありました。そこで、この度、銀行法等の一部が改正され、このようなフィンテック事業者が電子決済等代行業者として金融庁の登録事業者とすることで、利用者保護を確保しつつ、金融機関と電子決済等代行業者とのオープン・イノベーション(連携・協働による革新)を進めるための制度的枠組みが整備されることとなりました。
   
具体的には、電子決済等代行業者に対する登録制の導入を含む、以下のルールが整備されます。
1.電子決済等代行業者の体制整備・安全管理に係る措置
  ○ 利用者保護のための体制整備
  ○ 情報の安全管理義務等
  ○ 財産的基礎の確保
2.電子決済等代行業者の金融機関との契約締結等
  ○ サービス提供にあたり以下の事項を含む契約を締結
   ・利用者の損害に係る賠償責任の分担
   ・利用者に関する情報の安全管理
3.金融機関におけるオープン・イノベーションの推進に係る措置
  ○ 電子決済等代行業者との連携・協働に係る方針の策定・公表
  ○ 電子決済等代行業者との接続に係る基準の策定・公表
  ○ オープンAPI導入に係る努力義務
   
落合弁護士からはこれらの改正内容の概要について、解説いただくとともに、一般社団法人FinTech協会が、改正銀行法案に対して表明された見解の内容、継続的に対応を求めている事項についてご説明を頂きました。
   
   
加えて、今回のセミナーでは、電子決済等代行業の定義規定、登録要件等、銀行の体制整備、監督権限の行使などに関する不明瞭な箇所や、現状の法律案がそのまま成立することによって事業に支障を及ぼす点についても検討を進めることで、改正法案が審議される前に事業者側の懸念事項を整理することができました。
   
お集まり頂いた会員のみなさま、意見交換をして頂いたみなさま、講師の落合弁護士、ありがとうございました。
   
   
   

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