2月26日、人口問題PT小セミナー「人口減少社会の新ビジネス(第5回・ロボット×サービスの現在・未来)」を開催しました

2016年2月26日、「少子化・人口問題検討プロジェクトチーム」の下で開始した小セミナー、シリーズ「人口減少社会の新ビジネス」の第5回「ロボット?サービスの現在・未来~経産省が目指す暮らしの大転換~」を開催しました。今回は、「ロボット革命」に向けた政府の取組などについて、経済産業省産業機械課ロボット政策室の牛嶋裕之様にお越しいただき、お話をうかがいました。
   

講師:牛嶋裕之様(経済産業省産業機械課ロボット政策室)
   
2014年5月、安倍首相がOECD閣僚理事会での基調演説で「ロボットによる『新たな産業革命』を起こし、日本が世界に先駆けたロボット活用の『ショーケース』となる」と宣言し、それを受けて政府では「ロボット革命実現会議」の開催(2014年9月~2015年1月)、「ロボット新戦略」の決定(2015年2月)、とロボット施策が進みました。2015年7月にはロボット政策を推進していくための経済産業省ロボット政策室が設置され、今回お越しいただいた牛嶋様は、ここにおいて政府のロボット政策に最前線から取り組んでいらっしゃいます。
   
牛嶋様は、まず「ロボット新戦略」において、ロボット活用が期待される分野として「ものづくり」「サービス」「介護」「インフラ・災害対応」「農業・食品産業」が掲げられており、これらを中心とした日常の隅々にまでロボットを普及させるために官民あげて関連プロジェクトへの投資拡大を図るということを説明されました。その上で、今後の普及が期待されるロボットのひとつとしてドローンを取り上げ、日本においてドローンによる農薬散布が普及している例などを挙げながら、更なる活用拡大に向けた技術開発と環境整備の必要性について話されました。またそのための一つの施策として、ロボットのテストフィールドを福島に整備し、実証実験などを行っていく予定であると説明されました。
   
   
経済産業省は2015年から、ロボット活用のフロンティアを開拓していくための「ロボット導入実証事業」を開始しました。これはサービス分野などの、これまでロボットがあまり活用されてこなかった分野において導入実証を行うことで、その分野におけるロボット活用の促進やシステムインテグレーターの育成を図るものです。これまでに、生餃子を容器に並べる作業をロボット化する例などが採択されており、この事業などを通じて、今後5年間でロボットの市場規模を大幅に拡大することを目指しています。
   
サービス分野でロボット活用を進めるには、サービスを受ける側のニーズを掘り起こすことも重要です。経済産業省はこのような視点から「みんなのロボットプロジェクト」を始め、現在、「街の中でサービスに感じる『モヤモヤ』大募集!どんなロボットなら解決できる?」といったお題を示し、アイデアを広く募集しています。例えば、「ホテルのルームサービスは人間が来ると恥ずかしいからロボットに来てほしい」などの思いは、実際にルームサービスを使う人からしか出てこない発想です。牛嶋様は「生活者のアイデアによってもロボット活用のフロンティアが拡大していってほしい」と、同プロジェクトへの期待を語り、生活を便利にしていくのはまさに我々自身なのだということを改めて感じさせられました。
   
人口問題PTでは今後もこの小セミナーを継続し、その内容を踏まえて、政策提言を作成・発出する予定です。今回講師としてお世話になった牛嶋様、そしてご参加いただいた皆様、本当にありがとうございました。
   
   
   
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